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成績優秀者を京都に招待 edX講義 「生命の化学」

2014.07.16

京都大学はedX講義「生命の化学:Chemistry of Life」の受講生約2万人から成績優秀者6名を選出し、KyotoUxトラベルアワードとして、7月7日から一週間京大へ招待した。6名は、物質‐細胞統合システム拠点(iCeMS)など京大の研究施設や島津製作所を見学したほか、京大の全学共通科目「生命の有機化学」に参加して各自の研究アイデアを発表した。

KyotoUxトラベルアワードは、オンライン上で世界中に講義を配信できる「生命の化学」の特徴をいかして、優秀な人材を発掘する取り組み。また、講義を提供する上杉志成教授(iCeMS副拠点長)のもとへ受講者を招待し、オンライン上の世界と現実世界をつなげる試みとして行われた。

「生命の化学」の中間成績の評価で優秀者5名に選ばれたのは、フエ・ブゥさん(ベトナム・22歳)、リハルズ・アレキシスさん(ラトビア・22歳)、ウロス・トドロヴィックさん(セルビア・18歳)、カーラ・ピネダ・アリスタさん(ペルー・22歳)、グラハム・ウインブロウさん(アメリカ合衆国・26歳)。また、エース・スペンサー・アポロニオさん(フィリピン・17歳)は総長特別枠に選出された。括弧内は左から順に出身国・年齢。

参加者は、世界100カ国以上・約2万人の受講者から選ばれた。受講者間で評価した成績を参考にして500名に絞った後、「生命の有機化学」の受講生を交えた評価で83名を選んだ。その中から、受講者によるプレゼンや履歴書などを総合的に勘案して15名の最終候補を選考。最終候補から6名が選出された。総長特別枠のエース・スペンサー・アポロニオさんは、経済的な問題や文字認識に関する学習障害といったハンディキャップを抱えながらも、学問へ真剣に取り組む姿勢が評価された。松本紘総長は「(そのような学生に)活躍するチャンスを与えたかった」と総長特別枠の意義を述べる。

リハルズ・アレキシスさんさんは「若手研究者として活躍するのに不可欠となる、新しいアイデアを創出する力を養えた」と「生命の化学」を受講した感想を話した。ベトナムの大学で学ぶフエ・ブゥさんは「(オンライン上で受講者が互いに評価する方法について)研究を進めていく上で、他の人と協力したり、支援したりするのに役立つ」と高く評価した。

「生命の化学」全15回の配信後、受講生全員の中から京大が推薦する国費留学生の有力候補として1名が選出される。文科省の推薦を得るなどの手続きを経て国費留学生に選定された場合、iCeMSが受け入れる予定。今回招待された6名から選出される可能性もあるという。

edXは、MOOC(大規模公開オンライン講座)と呼ばれるオンライン授業を、全世界に向けて無償で配信する非営利組織。京大は昨年5月に日本の大学で初めてedXに参入し、今年4月から「生命の化学」を配信している(本紙2013年11月1日号既報)。