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霊長類研准教授を懲戒処分 不適切経理発覚を受け

2013.12.16

11月26日、京都大学は霊長類研究所の50歳代の男性准教授に対して停職2か月の懲戒処分を行った。京大は、学内調査により当該准教授が業者に対する「預け金」等の方法で公的研究費の不適切な経理を行っていたことが分かり、今回の処分を決定した。

今回の不適切経理は、京大が2011年から行ってきた「公的研究費の不適切な経理に関する調査」によって発覚したもの。2011年8月、文部科学省が全国の各大学に対して当該調査を行うよう通達を出し、京大は同年12月に報告書を提出した。この時には不適切な経理等の問題は無いとしていたものの、翌2012年6月に薬学研究科元教授による不正経理が発覚。これを受けて京大は新しく調査委員会を発足し、退職した職員も対象にするなどあらためて広範な調査を行ってきた。同委員会は今年4月に調査の途中経過を公表し、3名の教員の不適切経理を指摘。そして今回、それとは別件として現職の霊長類研准教授も含めた5名の教員による不適切な経理があったことを発表した。今回指摘された不適切経理の総額は約1600万円。処分を受けた准教授はこのうち約520万円に関与したという。

准教授は、年度内に使い切れなかった研究費等を架空取引により取引業者に管理させ、当該代金を次年度の物品等の購入に充てる、「預け金」という手口を用いたことや、納入される物品と異なる内容の伝票作成を取引業者に依頼し、支払処理を行ったことなどが指摘された。こうした不適切な経理は、国立大学法人京都大学職員就業規則に違反するものであるとして、准教授には停職2か月の量定が下された。なお、残り4名の教員はすでに退職しているため大学側は処分を行わないとしている。また、今回の不適切経理による私的流用はなかったとされているが、京大は指摘のあった5名に対する返還請求を行う予定。

これまで明らかになった不適切経理を受けて、京大は再発防止策を検討。不適切経理に関わる諸規程の改正、策定を行うほか、教職員を対象にした研修等を必修にすることなどが対応策として挙げられている。今後は全学的にこうした研修を推進することに加えて、部局ごとにも独自の研修会を設けるなど、不適切な経理の根絶に向け大学全体として取り組んでいく方針だという。