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有期雇用研究者 無期雇用へ転換、10年に 改正研究開発力強化法可決

2013.12.01

「改正研究開発力強化法」が12月5日の参議院本会議で可決され、成立した。本改定には「労働契約法の特例」の新設や、科学技術の振興に必要な資源の配分に関して考慮しなければならない事柄の追加などが含まれる。

このうち「労働契約法の特例」の新設により、大学教員のような研究者などで、有期労働契約の職員の無期労働契約への転換が、現在の「5年」から10年」に延長されるなどする。これまでは、2012年8月10日に労働契約法が改定されたことで、今年4月から大学非常勤講師等、有期労働契約の職員が契約した労働期間が通算して5年を超えた場合、その職員を無期労働契約に転換しなければならない。この改定には有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消するという目的があったが、有期雇用者の通算した労働期間に上限を設ける契約については制限をかけていないため、実際には非常勤教職員の通算した労働期間について5年を上限とする大学等が増加している。

今回の改定に反対し、全国大学高専教職員組合中央執行委員会が「有期雇用研究者から無期転換権を事実上剥奪する研究開発力強化法『改正』に反対する」見解を発表したほか、首都圏・東海圏・関西圏および沖縄の各大学非常勤講師組合は「研究開発力強化法等の改正にともなう非常勤講師ほか有期雇用教員の労働契約法特例に反対し講義する緊急声明」を発表している。

前述の「労働契約法の特例」新設のほかに今回の改定では、科学技術の振興に必要な資源の配分に際して、安定的な配分を考慮しなければならない科学技術としてこれまで「我が国の経済社会」に関わる科学技術が規定されていたが、今回の改定では新たに「我が国及び国民の安全」に関わる科学技術が追加される等の変更が行われている。

用語解説
【改正研究開発力強化法】研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律案。