朝鮮人虐殺、当時欧米では 関東大震災90周年国際シンポジウム 「関東大震災朝鮮人虐殺から90年、国家暴力と植民地主義を超えて」(2013.10.01)

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9月7日、立命館大学衣笠キャンパスにおいて、シンポジウム「関東大震災朝鮮人虐殺から90年、国家暴力と植民地主義を超えて」が開かれた。このシンポジウムは、関東大震災90周年を記念・追悼して、関東大震災時に日本人によってなされた朝鮮人虐殺をテーマに扱い、協定式、研究報告、総合討論の3部構成で進められた。協定式では、立命館大学コリア研究センターと独立記念館韓国独立運動史研究所が学術協定を締結した。立命館大学コリア研究センターは、韓国及び朝鮮半島、そして日韓関係の研究の重要性、緊急性を認識して2005年に設立された機関である。また独立記念館韓国独立運動史研究所は、独立記念館に附設された機関であり、韓民族に関する国内外の資料収集に努め、これを元にして展示あるいは体系的な韓国近代史研究を推進している。独立記念館韓国独立運動史研究所が日本の機関と学術協定を結ぶのは初めてだという。研究報告では日本側から裵姈美氏(立命館大学)、田中正敬氏(専修大学)、勝村誠氏(立命館大学)の3氏が発表し、韓国側からは洪善杓氏、李明花氏、尹素英氏(いずれも独立記念館韓国独立運動史研究所)の3氏が発表した。

講演者の一人である洪善杓氏は「関東大震災に対する欧米韓人の対応」と題する講演を行った。欧米韓人とは関東大震災当時、欧米に居住していた朝鮮人グループのことである。関東大震災当時の欧米韓人の動向に関しては、資料や証言などの研究材料が不足しており、このようなテーマを調べることは困難を要するもので、欧米韓人の観点からの朝鮮人虐殺の研究は、そのような困難な状況の中進められたと話す。この研究によって関東大震災の波紋が、地理的に離れた欧米の韓人社会に影響を及ぼしたことが見えてくると洪氏はこのテーマの意義を強調した。

洪善杓氏は朝鮮人虐殺を知った欧米韓人の対応を調べるに当たって、ドイツと北米本土、そしてハワイを対象とした。まずドイツでは朝鮮人留学生が朝鮮人虐殺の事実の伝達の役割を担った。関東大震災勃発後、日本政府は虐殺の事実についてマスコミ報道を徹底的に統制して国外への広がりを断ち切った。しかし、日本国内に滞在していたドイツ人新聞記者のブルガルト氏が偶然関東大震災の現場に居合わせて、10月9日、朝鮮人虐殺の事実をドイツ国内で報道した。韓人留学生によって設立された有徳高麗学友会は彼の記事に接して、10月12日には朝鮮人虐殺の事実をヨーロッパ及びアメリカの韓人社会や上海臨時政府に伝えた。またこの後、10月26日、有徳高麗学友会は日本の侵略や植民統治にも言及した朝鮮人虐殺のビラを世界各国に配布して日本の蛮行を伝えた。

北米においては、関東大震災に対して反応を示したが、外部には伝わりにくかった。日本の戒厳令宣布と言論統制が徹底されたため、朝鮮人虐殺の事実が正しく伝わったのは10月4日であったが、本格的に報道され始めたのは震災の2ヶ月後の11月1日からであった。北米在中の韓人らは11月24日に日本国内の韓人を助けるために支援募金を開始したが、日本国内での水害に対する支援募金活動と重なったため、順調に進まなかった。

ハワイでは、朝鮮人虐殺の事実に接して、積極的な抗議活動が展開された。9月7日、8日に朝鮮人虐殺の事実が報道された。洪氏はこの報道日時はドイツ、北米よりも早かったと指摘した。しかしその後日本政府の統制により、ハワイ国内のメディアは日本により歪曲された朝鮮人虐殺の報道を行わざるを得なくなった。そのような中、10月25日には大規模な集会が催されて犠牲者のための追悼が行われ、朝鮮人虐殺に対する決議案が作成された。

いずれの地域においても、日本政府がマスコミ報道を徹底的に統制して、朝鮮人虐殺の事実の隠蔽もしくは改ざんにつとめたため、朝鮮人が事実を知り報道するには大きな困難を伴った。しかし、そのような状況下で行われた抗日宣伝活動や真相の究明への努力は驚くべきものであり、そのように尽力した欧米韓人は高く評価されるべきであると洪氏は語った。

報告会の後には張錫興氏(独立記念館韓国独立運動史研究所)が司会を務め、金炯睦氏(独立記念館韓国独立運動史研究所)、庵逧由香氏(立命館大学)、石川亮太氏(立命館大学)の3氏を交えて、 講演者6氏とともに総合討論が行われた。中長期的な東アジア研究には歴史理解とともに相互理解が必要であること、朝鮮人虐殺の加害者である日本人は帝国主義に取り込まれた被害者であったのではないかいう解釈、そして朝鮮人虐殺の隠蔽が公権力の圧力だけでなく、朝鮮人虐殺を行った事実を隠蔽しようとする地域共同体の圧力によっても助長されたことなど多くの視点から意見が交わされた。朝鮮人虐殺は過去の事実であるとともに現在の課題であり、日本人と朝鮮人がとともに取り組んで解決すべき問題であることが了解され、立命館大学コリア研究センターと独立記念館韓国独立運動史研究所が中心となってともに学術活動を進めていくことを期待して司会者がこのシンポジウムを統括し、閉会した。(千)

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