賃下げ訴訟 第1回口頭弁論行われる 京大「原告らは減額に黙示の同意」(2013.10.01)

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9月10日、京都地方裁判所において、京都大学職員組合員らが原告の、未払い賃金返還訴訟の第1回口頭弁論が行われた。今回の口頭弁論では、原告らによる訴状陳述と被告である国立大学法人京都大学による答弁書陳述があったほか、原告側の高山佳奈子法学研究科教授から意見陳述がなされた。原告団は8月23日までで111名に達し、裁判当日は35人程度の傍聴席に対して京大教職員や全国大学高専教職員組合(全大教)員など70人以上が裁判所に応援に来た。裁判終了後は、京都地方裁判所隣の弁護士会館地下ホールにて報告集会が行われた。

「国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する」ため、昨年2月29日に成立した「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」によって、昨年4月1日から2014年3月31日まで国家公務員の給与は平均7・8%減額されている。これに関連して、国は各国立大学法人に対し、閣議決定の趣旨に沿って、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、各独立行政法人の役職員の給与について必要な措置を講ずるよう要請。これをうけ、大学は昨年8月1日から今年3月31日まで減額率を抑え(1%から4・35%)、教職員の給与臨時削減を行い、また今年2月5日には、2013年4月1日から2014年3月31日まで給与削減を継続することを京大職組に通達していた。また、2月26日には東日本大震災復興時事業に充てる財源確保のため国立大学法人運営費交付金を約300億円削減する補正予算が成立している。

こうした動きに対して京都大学職員組合は、全国大学教職員組合の提起に応じ、京大を相手に訴訟を起こすことを決定。6月11日に京都地方裁判所に提訴していた。

訴状によると、原告団は、被告が行った賃金減額に対して、①賃金削減相当分が全て東日本大震災の復興に充てられているのか不明であること②国家公務員の給与減額法自体、違法・無効であること③国の運営交付金削減は、国立大学法人法をも無視することであること④国が国立大学法人の労働者の労働条件・労使関係に介入するのは許されないこと⑤運営交付金が削減されたとしても外部資金などを代用すればよいこと⑥賃金引き下げの必要性を示す財務資料の提示がないこと⑦被告が原告らの賃金を一方的に減額したこと(労働契約法9条、10条違反)⑧就業規則の不利益変更によって労働者が重大な不利益を被ることなどを挙げ、無効であることを主張。総額1100万円以上の未払い賃金の支払いを被告に対して求めている。

これに対し被告側は、答弁書の中でそれぞれ①不知②否認ないし争う③否認ないし争う④国が、国立大学法人の労働条件・労使関係に介入することを極力控えるべきでるというのはもちろんであるが、「いかなる意味においても許されない」ということではなく、国立大学法人であることに伴う制約、いわば内在的制約は当然あり得る⑤被告の外部資金にはそれぞれ受入れ目的があり、常勤教職員全体の人件費に充てるという目的外使用は認められない⑥原告らまたは原告らの所属する京都大学職員組合から具体的に特定された資料提示の要求はなかったため、すでに公表している資料で足りると判断した⑦原告らは、賃金減額に同意しているのであるから(少なくとも黙示の同意)、労働契約法9条に照らしても有効であるし、ましてや労働契約法10条に定められる合理性や周知性等の問題ではない⑧被告が賃金を削減したことは認めるが、原告らの被る不利益性があまりに重大であるかどうかについては争う、などとしている。

高山法学研究科教授の意見陳述では、以下4点の趣旨の補足説明が行われた。①「復興のため」として削減された賃金が被災地に届いているのか不明であり、さらにこうした疑念の残る削減相当分の用途に関して京都大学は検証すら行わない、②国からの「要請」を遵守する義務が京都大学には無く、また教職員の給与削減分の財源が京都大学に無いとは交渉の場で明言されていない、③法人化以後、収入格差を理由として国立大から私立大への教員の流出が激しく、それを加速する給与減額をただちにやめるべき社会的必要性が高い、④組合員に圧力をかけるなど、そもそも京都大学は団体交渉や教職員の勤務条件に臨む姿勢自体が芳しくない。

裁判後の集会において、京都大学教職員組合委員長西牟田祐二氏は、教職員らが賃下げに同意していた理由として京大が「黙示の同意」があったためと答弁書で述べていたことに触れ、「声をあげなければ『黙示の同意』とみなされてしまう。これからも私たちは声をあげ続けなければならない」と述べ、今後も裁判を闘っていく姿勢を表明した。

現在、賃金削減に対して訴訟を起こしている組合は、全大教、高エネルギー開発機構、福岡教育大、山形大、富山大、京都大、新潟大、高知大の計8組合。福島大、電通大、東京学芸大、福井大は訴訟に向け準備中だという。

次回の口頭弁論は11月19日午後2時半から、京都地方裁判所101法廷で行われる予定。

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