ニュース

中期目標、大部分で「順調」 06年度業務実績評価公開 国立大学法人評価

2007.11.01

国立大学の教育や研究、運営体制などを評価する国立大学法人評価委員会による06年度の国立大学法人の業務実績評価が、10月5日までに発表された。国立大学法人の04~08年度の中期目標・中期計画の進捗状況を一年毎に評価するもので、大学側の自己点検・評価報告に基づき行われる。

評価書は全体評価と項目別評価からなり、全体評価では京大の06年度の特長として、学生の教育研究環境の充実と、外部資金比率の2%の増加を挙げている。

項目別評価では全4項目のうち、1)業務運営の改善及び効率化、2)財務内容の改善、3)自己点検・評価及び情報提供の3項目で「中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる」の評価を、4)その他業務運営に関する重要事項で「中期目標・中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる」との評価を得た。これは、項目別評価1)~3)の全ての中期目標の進捗状況が「十分に実施している」との自己評価であったのに対し、項目別評価4)のe-learningシステムに関する中期目標が、「十分には実施していない」であったため。この業務実績評価は、大学の自己点検・評価報告書の記述を実質的に丸呑みしたものであるため、特に目新しい点はない。学内での批判を避けるために、各大学がかなり甘めの自己評価をつける傾向が強い。

また、評価書の「骨抜き」は別の面でも進んでいる。04年の国立大学法人化に際し、反対派の一つの論拠は、文部科学省による大学への介入が強まるという点であった。これに対し、丸山正樹・副学長(企画・評価担当)は「文科省よりもむしろ総務省の介入のほうが問題だ」と話す。

評価報告書は最終的に総務省に提出され、総務省から評価委へと評価に関する要望が出される。そのため、始めは進捗状況の確認の意味合いであった報告書が、評価に共通な事項が増えていく傾向にある。このような形で総務省による大学への介入が進みつつある。