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URA整備事業 京大は高評価 継続的な運用が課題

2013.09.16

文部科学省は2011年度から開始した「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」事業について、進捗評価を実施した。2011年度に事業を開始した5機関の内、京都大学は東京農工大学と共に「事業全体として順調に進展しており、他機関の参考となる先進的取組が進展しているなど優れた進捗状況と判断する」として4段階中の最高評価を与えられた。この評価は対象となる各機関の提出した報告書に基づく書面評価に加え、評価小委員会における合議評価を経て決定されたものである。

リサーチ・アドミニストレーター(以下、URA)は、研究以外の業務に追われる研究者が研究活動に専念できる環境を整備するために設置された専門職で、研究プロジェクトの企画・運営、組織改革、研究成果の社会還元を支援する。文科省は「URA育成・確保システム整備」事業において選定した大学に補助金を交付した上で実際のURA運用は各大学に委ねており、今回初めてその進捗状況の評価を行った。

京都大学では同事業の採択を受けて2013年4月にURA室が設置された。科研費申請書(研究計画調書)作成のポイントを記した教科書の作成やレアメタルの代替元素を研究する「元素戦略プロジェクト」の支援、その他広報イベントの企画・運営などの実績がある。これら事業の実施に加え、リサーチ・アドミニストレーションシステムを長期的に大学の研究推進体制に定着させるよう動いているという。

今回の進捗評価では本部URA組織である学術研究支援室と部局URA組織とが連携して「京都大学URAネットワーク」を構築し、全学を挙げた研究推進体制の充実・強化を図る取組みが進められている点が評価された。また教員と職員の中間職として専門業務職を創設、さらにその昇任制度を確立させたことによるキャリアパスの明確化、人事考課の一本化などにも言及され、職務環境の整備は順調に進捗し、先駆的な取り組みが行われているとされた。一方で事業終了後の継続雇用や長期的雇用及び任期の定めがない雇用についての人事制度の構築の検討が課題として残る、という旨のコメントが添えられた。