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京大、研究大学強化促進事業に採択 国際競争力の向上を目指して

2013.09.16

8月1日、研究大学強化促進事業の対象機関に京都大学が採択された。事業の対象となった機関には支援金が配分され、京大への配分予定額は10年間にわたり毎年4億円。研究大学強化促進事業とは、世界水準の研究活動を行い、国際的に活躍できる大学の拡充・増強を目指して、今年度から展開している、文部科学省の政策である。

この事業をはじめるにあたり、まず①科研費等の資金獲得状況、②国際的な研究成果創出の状況、③産学連携の状況、からなる合計10指標をもとに、2013年4月30日に研究大学強化促進事業審査委員会がヒアリング対象機関を選定した。そして、この事業に採択されることを希望する各大学に対して、自らの研究活動の強み・弱みや課題等を踏まえて作成する研究計画の提出を求めた。その後7月に各大学から提出された研究強化実現構想などに基づいて、ヒアリング審査を行った。

この審査では研究力調査の方針やそれに基づいた制度改革、研究マネジメント人材群の確保・活用についての取り組みを答申した。そして、8月1日に合議審査によって支援対象機関と配分予定額を決定した。支援対象機関は22機関に及び、配分額は4億、3億、2億円の3種類が設定されている。

この事業では国際競争力の測定基準として、論文の引用度や国際共著論文の数が挙げられており、これらの増加につなげられるように研究環境の整備に力を入れる。この事業の実施期間は10年間となっており、選定された各大学は基本的には今年度に決定された配分額を10年間毎年度受けることができる。ただし 5年目に中間評価を行い、支援対象機関を再選定することを予定している。またこの資金は研究マネジメント人材群の確保・活用や、集中的に研究環境を改革するための支援に使途が限定されており、研究費に用いることはできない。

京大ではこの事業に採択されたことを受けて、研究力強化実現構想を発表した。この構想では研究力強化の方針として、「『越境』する知の拠点」を掲げて、具体的には2つのメニューを用意している。ひとつはこの事業での活用を期待されているURA(Univer-
sity Research Admin-istrator)の雇用計画及び整備計画についてである。国際交流、情報環境、産学連携そして未踏領域開拓を推進する研究強化組織それぞれに対して、この事業で新たに雇用するURA20名を配属する。もうひとつは学際・国際・人際融合事業についてである。「学際」とはURAが様々な分野の研究者を全面的に支援して、未踏領域を追求する異分野融合の研究の促進にあたることである。「国際」では新・ジョン万次郎プログラムを実施する。このプログラムは従来のジョン万次郎プログラムの支援範囲を拡大することで、URAと研究者が共同で国際力の向上に勤められる環境を整備する。「人際」では新規プロジェクトや研究環境の改革、未踏領域への挑戦を促進するために、市民、企業人、教員、URAといった様々な立場の人が集まることのできる場を設定する。これらのプランを通して人材の多様性や未踏領域への挑戦といった京大の強みを伸ばしつつ、国際化などの京大の弱みを改善していく構えだ。