プラナリア再生の謎を解明 理学研究科・阿形教授のグループ(2013.08.01)

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7月22日、阿形清和 理学研究科教授と梅園良彦 徳島大学大学院テクノサイエンス研究部研究員は会見を開き、プラナリア再生のメカニズムを解明したと発表した。本研究に関する論文は7月25日、『Nature』オンライン速報版に掲載された。

プラナリアは扁形動物門ウズムシ綱ウズムシ目ウズムシ亜目に属する動物の総称。体長は1センチ程度で水質の良い川などに生息している。高い再生能力で有名で、1933年にノーベル賞を受賞したモーガン(1866―1945)がプラナリアを279の断片に切断したところ、それぞれから完全なプラナリアが再生したという記録もあるという。

今回阿形教授らのグループは、プラナリアの再生にはERK蛋白質とβ‐カテニン蛋白質という2種の蛋白質の活性勾配が関与することを明らかにした。プラナリアには広範囲に幹細胞が分布しており、この幹細胞が頭部や首部、腹部、尾部の細胞に分化することでプラナリアの再生が起こる。プラナリアの幹細胞が分化するためには、ERK蛋白質が活性化することが必要である。そしてERK蛋白質が活性化した幹細胞は頭部細胞に分化する。一方、β‐カテニン蛋白質はERK蛋白質の活性を抑制する。そのためβ‐カテニン蛋白質の活性が高い尾部の幹細胞は尾部細胞に分化するようになる(図参照)。阿形氏は、従来の生物学の教科書ではプラナリアは、β‐カテニン蛋白質1分子の活性勾配で再生すると記載されているが、今回の研究で、モーガンが今から110年ほど前に予想していた「2分子勾配説」を実証することができたと話す。

そしてこの事実を応用することで、「再生できないプラナリア」を再生することにも世界で初めて成功した。コガタウズムシというプラナリアは、咽頭より下の部位で切断すると、尾部側の切片は頭部を再生できないことが知られていた。阿形氏らは、コガタウズムシの尾部切片ではβ‐カテニン蛋白質がERKタンパク質の活性を強く抑制しているため頭部に分化しないと仮定。そこでβ‐カテニン遺伝子の機能を阻害しβ‐カテニン蛋白質の活性を抑えたところ、コガタウズムシに完全な頭部を分化させることができた。

今後の課題として梅園氏は、何が原因となりプラナリアの幹細胞においてERK蛋白質を活性化させるのかを解明したいと語った。

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