〈連載企画〉台湾逗留記~第一回~「異国」の街角で(2012.12.01)

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身の回りのゴタゴタから逃げだすように、関空を後にした。空路目指すは台湾。日本の「隣国」であり、右派からは「親日」のイメージを投影され、そして奇妙なことだが左派からは黙殺されがちな島。「隣国」という表現を使うべきか否かひとつで頭を抱える羽目になる難しさを抱えた地。私はここでこれから何を見、聞き、感じるのだろうか。(魚)


午前6時半。外に出ると、初冬ながら長袖の上に一枚羽織れば十分な暖かさ。まだ日は昇り始めたばかりのようだ。スモッグがかった霞に陽がかすんで見える。まだ人通りの少ない通りをてくてく2・28和平公園に向かう。

時計が7時を少し回るころ公園に着く。平日の早朝であるし静寂に包まれた人気のない空間を予想していたが、それは見事に裏切られた。

まず音楽堂(ステージ)にラジカセから流れるスローテンポのリズムに合わせて身体を動かす集団が目に入ってくる。遊具が並ぶ一角では、一人で音楽にあわせて身体を揺らすおじいさん、その隣では遊具を使って身体を伸ばすおばあさん3人組。そこから少し離れたベンチが並ぶ一角でも、音楽に合わせて身体を屈伸させる女性の集団。そのとなりでもまた別のおじいさんが呼吸統一てきなことをしている。

そう、朝の公園はある種の老人天国なのだった。

この228公園だけではない、そのすぐあとに行った隣の中正記念堂広場でも同じような場に遭遇することに。

一党独裁時代に己の権勢を誇示するためだったのか、モニュメントの巨大さにあきれると同時に、こういった大勢の人が集まれる場所が、民主化運動の拠点になったという歴史の逆説に思いをはせていたのだが、どこからか演歌が明らかに素人さんの歌声で流れて来たのである。 音源のほうに向かうと、平日朝からカラオケ機材を持ち込み歌っている中高年の一団がいた。機材に貼ってあった「会の規約」をみると、毎朝6時半から8時半まで歌っているらしい。他人の歌は聞かねばならない、拍手せねばならない、盛り上げねばならない、といった同調圧力はないようで、みな自分の出番以外はおしゃべりや、ジョギングや、バトミントンをしたりと、自由勝手に振舞っていた。

お年寄りしかいないのは、若年壮年層は通勤通学があるからなのだろう、それともほかに娯楽がないから・・・? 今後少子高齢化が進んでいく中でこの傾向(公園の老人天国化)がますます強まるのか大いに気になるところだ。

広場を出たところで朝食専門の店をみつけた。出勤途中のひとたちが入れ替わり立ち代りやって来る。ここでは食事を自宅ではなく、このようなテイクアウト、外食で済ます人が多いようだ。

隣に座っていたおじさんがお粥と玉子焼き的なものを頼んでいたので、その発音をまねて注文する。まったく違う、冷たいミルクティーと揚げ餅がきた。自分の言語能力の貧しさを呪う。でもおいしかったので善しとしよう。これで100円弱。

店を出る。陽は雲に隠れていた。道路を激しく行きかう車、バス、バイクの喧騒が喧しい。ここの人たちの、私の国では見ないエネルギーというか騒々しさはどこからくるものなのだろう、ふとそう思う。原因のひとつは秒単位で表記される歩行者用信号であることは間違いないだろうが。そう、わたしはいま日本を離れて台北にいるのである。

台北:台湾(中華民国)の中心都市。人口は265万人。台湾本島北部の台北盆地に位置する。北緯25度に位置し亜熱帯気候。スペインやオランダの商人が拠点を設けた後は、明臣の鄭成功そして清朝と中国大陸の政権に組み込まれた。日清戦争後の1895年から45年までは日本が植民地統治。戦後は大陸の国民党政権が実効支配。90年代前半に社会の民主化が大きく進んだ。物価は公共交通や水光熱費などインフラ料金を中心に日本比較すると安い傾向にあるが、一人当たりGDPが16、353 米ドルであることを考慮すると地元民にとっては「高い」と感じる水準と思われる。文字は漢字だが日本と異なる繁字体(旧字体)、北京語が標準語とされ、ほかに台湾語、客家語、原住民語がある。合計特殊出生率が0、85を記録し少子高齢化が進展している。現在10%の高齢者人口が2025年には20%、40年には30%を超えると予想されている。

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