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5年半ぶり、差別落書き見つかる 4月だけで5件も、同一人物か

2012.06.01

今年度に入り5件の差別落書きが見つかった。1件は文学部新館、残りの4件は京都大学生活協同組合カフェテリアルネにて発見された。文学部新館の件に対しては、文学部自治会学友会が5月30日付けで抗議声明を発表し、カフェテリアルネの件に対しては、京都大学が4月17日付けで告示第2号、および5月10日付けで告示第3号を発表した。また京都大学附属図書館および人間・環境学研究科総合人間学部図書館では、人権問題に関連する図書への落書きが見つかった。この件に対しては、5月10日付けで告示第4号が発表された。

最初に見つかったのは4月5日。文学部新館およびカフェテリアルネにて、差別的な表現が書かれた張り紙が発見された。その内容はともに、特定の個人に対し「部落出身(エタ、ヒニン)」などと誹謗中傷するものだった。その後4月24日から26日にかけて、カフェテリアルネにて同様の差別落書きが3件見つかった。5件の落書きは、いずれも内容が類似していることから、同じ人物によるものと見られている。

今回差別落書きが見つかったのは、2006年8月21日以来、およそ5年7カ月半ぶりで、大きく時期をへだてた発見となった。それ以前にも、このような差別落書きは何度か発見されている。たとえば2006年度には2件、2005年度には3件見つかっており、2002年度に至っては1年間で10件以上もの差別落書きが発見された。差別落書きの内容は、部落差別の他に、同性愛者、HIV感染者、民族差別など多岐にわたる。今回のように特定の個人を名指しして誹謗中傷したものも少なくない。



4月24日から25日にかけて、附属図書館2階書架人権図書コーナーにて、人権問題に関連する図書に落書きが見つかった。落書きされた図書は約450冊で、背表紙に「×」や「○」と書かれていた。

附属図書館では、職員が毎日書架の巡回をしているが、24日に巡回したとき、人権図書コーナーにて落書きが見つかった。そこで同コーナーの図書をすべて調べたところ、約450冊の図書に落書きが発見されたという。

京都大学では附属図書館の他に、医学図書館、農学部図書室、人間・環境学研究科総合人間学部図書館に人権図書コーナーが置かれている。附属図書館の件を受けて、他の図書館でも人権図書コーナーを調べたところ、26日に人環総人図書館にて、背表紙に「×」と落書きされた図書が約20冊見つかった。医学図書館と農学部図書室では見つからなかった。


今回のカフェテリアルネでの差別落書きに対し京都大学は、名指しされた人、および差別に苦しむ人々を傷つけるものとして、厳しく非難している。また図書への落書きに対しても、大学の資産を汚損し、図書館利用に支障をもたらすものとして非難している。加えて、落書きを行ったものへの反省を促すとともに、すべての学生および学内関係者に対して、人権問題に対する認識を深め、このような落書きを根絶するための協力を呼びかけている。

また、文学部新館での差別落書きに対し学友会は、日本社会に未だ残る不当な差別意識を助長するものとし、決して許されるものではないと強く抗議している。