労使の認識ギャップが浮き彫りに 京大非常勤職員の実態調査(2012.04.16)

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京都大学で働く非常勤職員の実態調査が研究グループにより行われ、このほど「中間報告」のかたちで公表された。調査対象者の7割が自身の業務について「恒常的」、4割が「基幹的」であると回答しており、これまで労働組合との団体交渉等で非常勤職員業務を「臨時的・家計補助的」と説明してきた大学当局との認識ギャップが明らかとなった。(魚)

調査を実施したのは京都大学文学研究科グローバルCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」次世代研究プロジェクト「大学非常勤職員のワークライフバランスについての研究」ユニット。

GCOEプログラムの一環として採択された2010年度から調査計画を練り、その後紆余曲折を経て昨年12月から今年1月にかけ、職員録に氏名が掲載されている非常勤職員の中から1011名に調査票を送付。うち321名から回答を得た(回収率31・8%)。また同封されたインタビュー依頼に承諾した30名からの聞き取り作業も平行して行われている。

質問は全体で①自身について②経済状況③京大での業務及び職場環境④京大の時間雇用職員の有期雇用について⑤家庭と生活について⑥これからの仕事や生活について、の6分野44項目に渡っている。

最終集計作業中の調査結果から一部を抜き出すと、まず回答者の9割が女性であり、大学の現場を支える非常勤職員の層において女性の割合が際立って高いことが改めて示された。雇用年限については20代30代の7割が「5年で雇い止め」と回答し「雇用期限がない」のはそれぞれ1割以下と2割以下にとどまる一方で、40代以上には「5年で雇い止め」がほとんどおらず4割には雇用期限がないと答えており、世代間での雇用形態の違いが浮き彫りとなっている。

注目されるのが自身の業務について「基幹的」「やや基幹的」と回答した層がそれぞれ150名、78名と合わせて全回答者の7割、「恒常的」「やや恒常的」と回答した層がそれぞれ59名、63名と、同4割に達していることである。また自身の給与を正規職員と比較して「もっと評価されても良い」と考える層も4割存在する。これらのデータから「非常勤職員は臨時的家計補助的な業務に従事するもので、均等待遇は必要なく、よって雇用年限の設定も妥当」という大学当局の見解と非常勤職員当事者の実感にギャップが生じていることが読み取れる。ただし業務を「基幹的」であると回答する割合は20代30代の若年層で低くなっている。

時間雇用職員の雇用年限を最大5年までと定めている「5年条項」については、反対の声が6割と、賛成との回答に大差をつけた。しかし6年目以降も継続雇用が事実上認められる「特例」に、5年条項該当者が応募したいかについては「迷っている」層が過半数であった。この他自由記述では「メリットが分からない」「別の人を採るのならそのまま働かせて欲しい」など5年条項への疑問が多数寄せられている。

学内で働く非常勤職員について、これまで大学当局は「必要性が無い」として大規模な調査は行っていなかった。今回のアンケートは、「調査票送付が確実に可能な層」として、職員録に氏名が掲載された職員のみを対象とした結果、労働時間が20〜30時間/週と正規職員なみのフルタイム労働に近い職員の割合が高くなっていることが予想される、といった制約はあるものの、非常勤職員の実態を可視化するうえで貴重なデータといえる。

同ユニットでは2月18日と3月23日に「中間報告会」を開催。今後アンケート・インタビュー結果の精査を経た上で学内での最終報告会開催および報告書の刊行を予定している。

京大には時間雇用職員や有期雇用職員など、いわゆる非常勤として働く職員が約2900名おり、全職員の54%を占めており内75%が女性である(男女共同参画資料室の07年調査より)。この他部局や研究室で雇用されている数も加えると非常勤の比率は更に高くなると推測される。雇用契約は年単位で更新されてきたが、法人化後の05年3月に改定された規程で、これ以降に契約した非常勤職員に対しては「雇用される期間が通算5年を超えないものとする」(時間雇用教職員就業規則第4条第2項抜粋)とされた。「雇い止め」が現実化してきた09年には学内で労働組合や教員が見直しを求め、10年1月に、5年条項は従来通り残した上で、例外として部局が特に重要とする継続業務については、一度従来の被雇用者も応募できる公募をしたうえ応募者の中で継続雇用希望者が最も優秀であると判断された場合に限り、6年目以降も継続して働くことを可能とするよう制度の運用が変更された。この結果、10年4月以降も「5年」を超えて働き続けている職員もいる。ただしこの場合も当該職員は新規の採用者として扱い、再び5年条項が適用されている。

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