最先端の太陽電池を探る 京大サロントーク(2011.10.16)

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10月11日、百周年時計台記念館にて第72回京大サロントーク「プラスチック太陽電池の最前線ーもっと光を!」が、大北英生・工学研究科准教授を講師に招き行われた。

京大サロントークは、「先端学問の研究者との交流」をコンセプトに月1回のペースで行われている。この日は30人ほどが集まり、プラスチック太陽電池とその他の太陽電池の違いやそれらの原理・機構の説明とともに最先端の研究成果が紹介された。

一般に、太陽電池は有機系と無機系の2つに分けられ、さらに色素増感太陽電池・有機薄膜太陽電池やシリコン系・非シリコン系とに細分化される。プラスチック太陽電池は有機系に属する。

無機太陽電池の変換効率(光から電気に変える効率)は、宇宙用途など高いものでは30%以上にもおよぶ。一方、構造に工夫を施し発電コストを下げるための研究が行われ、民生用途での実用化も進んでいるが、精製や加工・成型の際には高温プロセスを必要とするため、どうしても製造コストがかかってしまう。

一方、有機太陽電池は変換効率が10%ほどしかないが、低コスト・軽量・柔軟性に優れているといった特長がある。特に変換効率は90年代初めまでは1%程度であったのが、いくつかのブレークスルーによりこの20年で大きく向上している。また、プラスチック太陽電池は、室温で有機溶剤に溶かしたインク状の原料から、紙に印刷するように大量生産することも可能になる。

大北氏の研究では、プラスチック太陽電池の効率を高めるために色素を加え、その原理解明などに取り組んだという。ブラスチック太陽電池は様々な場面での利用を可能にするが、光吸収帯域が狭いために太陽光の一部しか吸収せず、変換効率を十分には上げられない。そこで高分子材料(プラスチック)などの他に色素を加えることで光吸収帯域を広げることを思いついたという。結晶化の高い高分子に色素を導入すれば、色素が結晶相からはじきだされ、界面に「自発的」に偏在して変換効率を上げるのではないかと考えたためだ。だが結果は予想の正反対で、変換効率は下がってしまった。色素が凝集してしまったため、まともに働いていなかったためだ。平面的な分子構造を持つ色素だと、紙がくっつくようにはりついて、凝集しやすいのではないかと考え、立体的な構造を持つ色素を用いることでこの問題を解決し、変換効率をアップさせた。さらに色素が界面に「自発的」に存在するのは、色素の表面エネルギーの大きさが太陽電池を構成する高分子・フラーレンに対し、「高分子〈色素〉フラーレン」であるためだと実験により証明したという。

これからの発展にも期待できる有機太陽電池だが、有機物という性質上空気や水に弱いため耐久性に問題がある。これは屋外での使用を考えれば致命的だ。これをどこまで上げることができるかによって今後の利用場面も変わってくると、大北氏は講演会を締めくくった。

《本紙に写真掲載》

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