iPS細胞から精子作成 斎藤教授ら世界初(2011.10.01)

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斎藤通紀 医学研究科教授らの研究グループは、試験管内で多能性幹細胞であるES細胞とiPS細胞を精子や卵子を作る元の始原生殖細胞に分化させ、それをもとに健常な精子とその子孫を得ることに世界で初めて成功した。

ES細胞やiPS細胞から始原生殖細胞を体外で培養することに成功したのは今回が初。始原生殖細胞は、生殖細胞を含むほぼすべての体細胞の源であるエビプラストと呼ばれる細胞集団から、成長因子であるタンパク質BMP4により誘導されることが分かっている。しかし、ES・iPS細胞からエピブラストへの分化培養条件については未知の部分が大きかった。今回、研究グループは成長因子bFGFとアクチビン、そして血清の代替品として培養液中に混合する試薬であるKSRでES・iPS細胞を培養することによりエピブラストに近い状態の細胞を作製することに成功した。研究グループはこの細胞をエピブラスト様細胞と名付けた。

得られたエピブラスト様細胞をBMP4により刺激した後に始原生殖様細胞を単離し、その遺伝子発現パターンを調べると、体内の始原生殖細胞とほぼ同等であった。生殖細胞を持たない変異マウスの精巣にこの始原生殖様細胞を移植すると移植後約10週間で精子が得られた。得られた精子を卵子と受精させると、始原生殖様細胞に由来する健常なマウスが生まれた。このマウスは正常に発達し、雌雄ともに生殖能力を持つ。

この研究の成果は基礎および応用の両方で大きな効果が期待される。基礎においては、多数の始原生殖様細胞を得ることができるようになったため、始原生殖細胞形成メカニズムや、始原生殖細胞のDNAやヒストンへの化学的修飾がどのように遺伝子発現に影響しているかを解明するのに大きな助力となる。

また応用においては、不妊症の原因究明や治療法の開発に効果が期待できる。始原生殖細胞の発生に必要な遺伝子を単離することで、不妊症の原因遺伝子を特定できる可能性があるためだ。さらに、体外で始原生殖細胞を培養する技術を応用することで、ヒトES・iPS細胞から始原生殖細胞を分化誘導できる可能性も高まる。本研究は2011年8月4日に米国科学誌「Cell」のオンライン速報版で公開された。

《本紙に写真掲載》

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