チンパンジー子供 瞬間記憶力、ヒト大人以上 霊長類研松沢所長ら アイちゃん母子らで実験(2007.12.16)

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チンパンジーの子供がヒトの大人より優れた瞬間記憶力を一般的に持っていることを、松沢哲郎・霊長類研究所長らの研究グループが解明し、3日付の米科学誌「カレントバイオロジー(Curent Biology)」へ掲載された。松沢所長は「こんなにチンパンジーの子供の記憶が優れているとは思わなかった」と話す。

実験対象はアイちゃんなどチンパンジー母子3組と、京都大学などの学生9人(平均年齢19歳)。ヒトにおいては「数千人に一人」の確率で持ちうる高い瞬間記憶力を、チンパンジーの子供全員が超えていることから、「一般的にヒトより優れた瞬間記憶力を有していると言える」とまとめた。タイトルは「チンパンジーにおける数字の作業記憶」、ファーストオーサー(第一著者)は井上紗奈・同研究所研究員。

研究は2004年に開始。00年に生まれたチンパンジー3頭(アイの子アユム、クロエの子クレイ、パンの子パル)がそれぞれ4歳(ヒトで6歳に相当)になると、コンピューターを用いて数字を教えた。1から9までの数字をタッチパネル上に毎回位置を変えて表示し、小さい順に全てタッチできれば、リンゴなどのご褒美がもらえる仕組み。

毎日約25分ずつ練習すると、母子ともに数字の順番を覚えた。数字を減らして非連続にしても成功。「1」を押したあと他の数字が白い四角形に変わっても、記憶をもとに正しい順番でタッチできた。

その上で、問題をさらに難しくして実験。全ての数字が、表示後すぐに白い四角形に変わってしまう。元の数字の順番でタッチできれば正解だ。最初の表示時間を0・65秒→0・45秒→0・21秒と短くしても、最も優秀なアユムは約8割の正解率を保ち、ほか2頭の子供も同様に高い率で正解することができた。またアユムは数字の表示後10秒間、不意の物音に気をとられたあとにタッチし始めても、正解率は変わらなかった。このことは、表示後少なくとも10秒間は記憶が維持できていることを示す。

これに対して、3頭それぞれの母親やヒト(学生9人)も同様に練習したが、3頭の正解率に及ばなかった。0・21秒の表示時間では、双方とも正解率が4割に届かない。「ヒトの場合、チンパンジーよりじっくり見る。つまり目で追って動くのでしょう」(井上研究員)。また、ヒトとチンパンジーでは「本質的に違う記憶をしている」(松沢所長)可能性があるという。

チンパンジーの子供が瞬間記憶力において、同種の大人よりも、またヒトの大人よりも優れていることを示す論文は世界で初めて。松沢所長は「人間が一番賢いというわけではない、ということをはっきり示したもの」と話す。

《本紙に写真・グラフ掲載》

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