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桂キャンパスでも盗難発生 劇物の酢酸エチル 対応策に管理強化も検討

2008.02.16

先月29日、工学研究科合成・生物科学専攻有機金属化学講座の実験室(桂キャンパス)で、劇物である酢酸エチルの入った一斗缶(18リットル)1本が盗難される事件が発生した。監督責任者は村上正浩教授。大学内での調査を経て2月4日、化学物質管理を担当する環境保全センター長から西京警察署に通報が行われた。

酢酸エチルは引火性の液体で、劇物(毒劇物取締法)、危険物第4類(消防法)に指定されている。マニキュアのうすめ液に用いられることでも知られ、化学実験では分析や洗浄、薬品の抽出など広範囲で利用されている。1月29日、業者が一斗缶を納入、受け取りのサインをしたが、すぐに現物確認はされておらず、夜になって使用しようとしたところで見当たらないことに気付いたという。この間、実験室にいた女子学生が一斗缶を運び出す人物を目撃している。

京都大学では酢酸エチルを常用劇物に指定、化学物質管理規定に基づき管理している。具体的には取得・使用した化学物質を使用量を含めて京都大学化学物質管理システム(KUCRS)に登録し在庫量を管理、物質そのものは各研究室内の管理庫もしくは特別の保管室で管理するようにしている。今回のケースは納品後、管理庫に移すまでの間に盗難されたとみられている。

西本清一工学研究科長は、納品時に現物確認をしなかったこと、すぐに管理庫に移さず実験室の通路に放置しておいたことなど問題点を挙げ、今後の管理体制にも改善の余地が認められると述べた。また、京都大学では吉田キャンパスで盗難事件が多発しているが、桂キャンパスで大きな盗難事件はこれまでなかった。現在、桂キャンパスでは数か所の入り口に監視カメラが設置されているが、今後はロックアウトシステムなども方法の一つとして考え防犯に努めていきたい、と話している。