原子力と地球温暖化は引き換えか GCOEシンポジウム(2011.06.01)

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エネルギー科学研究科などの部局からなるグローバルCOEプログラム「地球温暖化時代のエネルギー科学拠点」は5月9日、東日本大震災対応緊急公開シンポジウムを開催。「将来のエネルギーについて考えよう―安全・安心な社会を目指して―」と題し、同拠点が検討してきた、2100年までに温室効果ガスを全く排出しない社会をつくるというエネルギーシナリオに、今回の大地震がどのように影響したのかを中心に宇根崎博信・同教授らが講演を行った。

宇根崎教授は、震災に起因する福島第一原子力発電所の事故は、原発の安全性確保への要求や安全基準の強化対応への動きにつながったが、同時にその議論だけでなく、中長期的なエネルギー需給の枠組みや地球環境問題の視点で安定したエネルギーや、エネルギー供給の組合せについての議論を進めることが必要だと主張した。

釜江克宏・同教授は、今後起きるかもしれない地震のシナリオを示した後、原発事故は「予想外」のものでは済まされないものとして、万一地震が起きたときの原発の放射線災害を評価して、それが十分小さくなるようしっかり確認することなどを耐震安全の基本目標に据えた。

小西哲之教授(エネルギー理工学研究所)は、現状の関東・東北地方の電力不足に対する応急の対策として、大規模集中型の発電所(火力や水力)ばかりに期待するばかりでなく、蓄電池や燃料電池といった小規模発電装置を個人・事業者・地域単位で多く導入・分散させることを提案。政府などに購入援助・補助をするよう提言した。

また、太陽光・風力発電は電力供給が天候等に左右されて不安定なため、たくさん導入するのはかえって大規模停電を引き起こすと指摘。大規模発電所と地域分散型の小型発電(蓄電池や太陽光)をうまく組みあわせることで災害にも強いエネルギー需給ができると説明した。

石原慶一教授(エネルギー科学研究科)は、2030年までのエネルギー関連の「シナリオ分析」をし、今回の震災の影響などさまざまな状況を仮定して、エネルギー需給や温室効果ガスの排出量などの予測を示した。

現状のままで温室効果ガスを削減するためには、原子力発電を縮小することが出来ないと結論し、もし両者を同時に解決するためにはエネルギー需要を削減しなくてはならないと述べた。

同拠点(リーダー:八尾健・同教授)は、再生エネルギー・原子力エネルギー研究、エネルギーシナリオの立案などにおいて人材育成をしながら研究活動や交流などを行っている。炭酸ガスに代表される温室効果ガスの排出が地球温暖化とそれによる気候変動を引き起こしていると見て、化石燃料に依存しないエネルギーの安定確保、低炭素社会の実現を目指している。そのために同拠点では原子力エネルギーは、古くなった原子炉の見直しなど安全性が十分に得られた上で、将来においても不可欠としているという。2008年度採択、2012年度まで。

なお講演で使われたパワーポイント(スライド)は同拠点のウェブページから見ることができる。

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