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京大にも影響 東北地方太平洋沖地震

2011.04.26

3月11日、東日本太平洋沖の広範囲を震源域とするマグニチュード9・0の大地震が発生(気象庁はこの地震を「東北地方太平洋沖地震」と命名)、引き起こされた津波によって沿岸の都市が壊滅し、福島第一原子力発電所の事故という大惨事を招いた。死者・行方不明者は2万人以上にものぼると推定されている。現在も数多くの被災者がいる他、関東地方(東京電力管轄内)では電力不足による計画停電・節電のため、各大学の業務・研究活動などにも影響が出ている。一方、京大でも震災・原発事故の影響は小さくない。

今回の震災・原発事故に対する京大当局の対応は多岐にわたる。被災した学生の学費減免・奨学金の設置から、募金活動、スタッフ派遣、物資輸送、イベントの中止、卒業式の厳粛化などがある。

京大生3名津波で亡くなる

今回、津波に遭って亡くなった京大生がいる。

農学部で同じ研究室に所属していた学生3名が、旅行先の仙台空港近くで津波に巻き込まれてしまったという。亡くなった学生について、大学は氏名などを公表していないが、学部卒業間近の学生であって、院に進む者もいたことが判明している。京大当局は、今回特例としてこの3名の卒業証書をそれぞれの遺族に渡した。本来、本人死亡の場合、卒業証書は渡されないことになっている。

卒業式で黙祷、コスプレは禁止

今年の大学院学位授与式、学部卒業式はともに厳粛に行われた。

学部卒業予定者には、3月18日に教育推進部教務企画課より「このような時期にふさわしくない仮装などの行為」をした学生には入場を断るという趣旨のメールが送られたため、例年見られるようなコスチュームプレイ(コスプレ)などで会場に入る学生は、ごく数名を除いて、ほとんど見られなかった。両式の初めには震災の死者・行方不明者に向けて1分間の黙祷が行われた。

学費免除や奨学金の新設も

学生課や各学部などでは、被災した学生または新入生で、学費などの支払いに困るようになった人に対して、入学金の全額免除、授業料の全額または半額免除、および「生活支援奨学金」の相談を始めた。

生活支援奨学金は4月分として10万円、以後各月5万円を1年間給付するという。

また、日本学生支援機構でも「緊急採用・応急採用奨学金」が設けられた。

卒業式や研究科 募金の動き

京大は、被災学生への支援基金「京大学生支援金」の募金と、震災そのものへの募金「京大救援義援金」を行っている。

両口とも三井住友銀行に募金の口座が設けられ、振り込むことができる。募金は日本赤十字社または被災地の自治体などに送られる予定。震災への募金は卒業式会場でも行われ、2日間で100万円近く集まった。入学式でも募金が行われる予定。

その他、医学研究科社会健康医学系専攻や理学研究科などでも独自に募金活動を行っている。

救援・支援活動 研究活動の提供も

一方、京大病院の医療チーム「DMAT」の5名が被災地域に向かい、原子力実験所の教員などが福島第一原発に派遣された。

また、京大で備蓄されていた非常用の物資(飲料水、米、難燃毛布など)を送るなど、震災・原発事故への救援活動・復興支援に関与している。理学研究科などでは、被災地域に住む研究者・大学院生に研究環境の提供をするという。

また地震発生当初は、学生による被災地域のボランティアは「できるだけ控えるように」と通達があったが、現在は、「個人でのボランティアを控えるように」と改められ、ボランティア先として「京都災害ボランティア支援センター」などを紹介している。

イベント中止や開館時間短縮

今回の震災では、「 生存圏シンポジウム」「情報学ミニ・オープンキャンパス」をはじめ、様々なイベントや講演会などが中止または延期になった。

また計画停電のため、京大東京オフィス(東京都港区)が3月14日から21日まで臨時閉館。以後、閉館時間(午後8時)を午後5時に早めたり、新規の会議受付を止めている。