言葉のプロとしてニュースに向き合う 第46回未来フォーラム(2010.12.16)

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12月13日、時計台記念館・百周年記念ホールで第46回未来フォーラム「ニュースを伝える~報道アナウンサーの現場から~」が催された。この日の講師はNHKチーフアナウンサーの野村正育氏。現役アナウンサーとしての視点から、自らの職業、ことばを伝える技術に関する講演を行った。

野村氏は京大の法学研究科を卒業後、1986年にNHKに入社した。現在は「NHKニュース7(土・日)」などの番組で活躍している。

野村氏はまず、NHKのアナウンサーとはいかなる職業であるかを説明。情報をことばで伝えるプロであることはもちろん、公共放送に携わる側として、国民の知る権利に応え、生命と財産を守り、豊かな文化に貢献するという使命がある。伝える情報をより確かなものにするため、自ら資料にあたり、取材をすることも少なくない。例えば、スポーツ中継などで咄嗟に発せられた一言が後に「名文句」とされるような場合でも、ほとんどが長期に渡るアナウンサー自身の取材や調査活動の成果だという。

また、災害などの緊急報道では下見なしに現場の映像が送られてくるので、原稿の不十分を補うために自ら映像を描写する必要が生じる。2004年10月、京都府舞鶴市で豪雨のなか人が取り残されるというニュースが入った際にも、いきなり現地の映像が入ってきたため、その場で人数を把握し、水没寸前のバスの上で救助を待っているという状況を伝えるということを経験した野村氏。この経験を踏まえ、「映像の中にもニュースがある」と力説した。

「ことばのプロ」としての観点から、野村氏は情報を伝えるためのことばの技術にも言及した。日本語は文字という視覚面に重きを置いてきたが、反面、話し言葉などの音声面は疎かにされてきたのではないかと指摘。なかでも、一方的に不特定多数の人に話しかけるパブリック・スピーキングにおいては、誰が聞いても一度で分かってもらえるような技術が求められる。しかし、ことばを次々とつないでいく膠着語の性質を持つ日本語をそのまま使っている限りは、要点がまとまりにくい。そこで野村氏は、まず「結論」を述べること、そして「文は短く」まとめることを提案。また、情報の伝達を円滑にするためにも、常套句や曖昧な表現は避け、筋道の立った話を展開するべきだと話した。

ニュース原稿という、最大限に凝縮されたエッセンスを通じて、いかに確かな情報を伝えるかが求められる職業・アナウンサー。山のような情報からエッセンスを伝えるという点で、アナウンスとは「広い裾野の頂」のようなものだと野村氏。自らの仕事に対する高い意識をこのように表明して、講演を締め括った。

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