【特集】追悼・森毅 名物教授、惜しまれながら逝く(2010.10.01)

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7月24日、森毅氏が敗血症性ショックのため亡くなられた。82歳。今年の2月に調理中の火災で大火傷を負ってから入院生活が続いていた末の、あまりにも惜しい死であった。

森氏は第三高等学校,東京大学理学部を卒業後、1957年から教養部(現・総合人間学部)に赴任した。以降、1991年の定年退官まで長らく教養部の「名物教授」として知られ、関西弁独特の語り口で「一刀斎」の愛称で親しまれた。専攻は関数空間の位相的研究であり、教壇で数学を教える傍ら、その一方で興味・関心の幅は広く、専門の数学だけではなく社会や哲学など幅広い領域に精通し、精力的な文化評論を行った。その人脈は学内外に留まらず、退官後も新聞・テレビにも登場し、歯に衣着せぬ言動と親しみやすいキャラクターから「ご意見板」として活躍した。

著作としては、数学の分野で『位相のこころ位相空間論と関数解析のために』『現代の古典解析』など、一般書で『まちがったっていいじゃないか』『考えすぎないほうが上手くいく』など多数。

京都大学新聞では、教養部時代から長らく推薦人の一人として紙面に登場していただいた。寄稿やインタビューなど、その登場回数は再掲載した記事を併せると計り知れない。

森氏の追悼企画を行うにあたり、気がかりがある。現役の編集員が京大に入学した頃には森氏は既に教養部を退官しており、したがって氏との面識はない。果たして彼の死を語る資格があるのかと聞かれれば、不安はある。

だが、編集にあたり森氏の寄稿や著作の数々を読み込む中で感じたことがある。そのメッセージは軽妙な語り口でありながら、そこには力強い言葉では語り尽くせぬ以上の鋭さや機知、その一方で愛嬌も忘れぬサービス精神、普遍性にすら富んでいるように思われた。それを読む行為は、単に森毅という一人物にアクセスするだけに留まらず、世代間の隔絶すら忘れさせる不思議な体験であった。この企画を通して、そうした「何か」を味わって頂ければ幸いである。

今回、森氏への追悼文を募るにあたり学内外から8名の方からご寄稿を頂戴した。この場を借りてお礼を申し上げたい。(編集部)

追悼寄稿
河合良一郎 名誉教授 「森毅さんの思い出」
木下冨雄 名誉教授 「『遊び』の達人」
池田浩士 京都精華大学教授 「森さん、またお会いしましたね!」
鶴見俊輔 評論家 「森毅の思い出」
池内紀 ドイツ文学者「森さんのこと」
安野光雅 画家 「森毅さんについて」
伊藤公雄 文学研究科教授 「森さんのこと」
橋本聡 朝日新聞ヨーロッパ総局長 「飄々、『イジケの論理』の名物教授」
(以上順不同)

バックナンバー再掲載
勉強の「まじめさ」を問う(日高敏隆・高橋正立両氏との対談)
複眼時評「マイナー文化のために」
複眼時評「伏見学園都市構想」
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複眼時評「オキモノへの道」


もり・つよし 1928年生まれ。東京大学理学部数学科卒業後、北海道大学理学部助手を経て1957年から京都大学教養部助教授、71年から同教授。1991年に定年退官以降は名誉教授を務めた。

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