〈京大雑記〉 第8回 学生は放学処分、では教員は?(2010.09.16)

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先号の本紙でも報じたように、文学研究科の元院生が、所属していた研究室の教員にアカデミックハラスメントを受けたとし、大阪地裁に訴えていた事件で、6月24日、違法なアカハラ行為を事実認定する一方、時効を理由に損害賠償請求は棄却する判決が下された。ちなみにこの事件で被害者の1人は、被告とは別の教員からセクハラの被害も受けていたという。

アカハラ関連の事件は近年毎年のように発生しているが、大学内部の調査調停は余りにも時間がかかる点、そして被害者側は最終的に大学生活を断念することが多い点の2つが目につく。

まず1点目だが、今回の事件を例にとると、アカハラ行為が発生したのが02年3月と03年11月。その後被害者側は文学研究科や全学の調査調停委員会に訴えを起こしていたが、この手続きにかなりの時間を取られているのである。例えば全学の調査調停委員会は開始が05年10月で最終調停案が出たのは07年1月と16ヶ月もかかっている。大学の判断を待った結果、充分な対応もなされず時効にもなってしまうのであれば、大学の内部機関は相手にせず直ぐ法廷に訴えた方が良いということなのだろうか。

もっとも法廷での争いは被害者側にとってかなりの心理的負担であろう。被害の詳細を公開の場で語り、また相手側の主張にも反論せねばならないのだから。現に今回の裁判で、被告の中務教授は「原告は研究室の他の院生をいじめるような人間だった」と、被害者側の心証を悪くする主張をしている。

また二点目については、被害者側には嫌な思いをした空間には戻りたくないという思いも当然あるだろう。しかし00年以降で公になったアカハラ事件を見ても加害教員への処分は最高で「停職2ヶ月」であり、辞職した例も加害教員の意志任せという現実をみると、加害者が引き続きいる空間には尚更復帰しづらくなるのでは、との感を受ける。

そうしたことを考えていた矢先、京大は8月9日付けで、今年3月に女性への痴漢行為による迷惑防止条例違反で逮捕・起訴された学生を放学処分とした。06年の元アメフト部員による集団暴行事件から性的な罪を犯した学生にはいずれも放学処分が下されており、放学がひとつの基準になりつつあるようだ。また処分が下されるまでの時間も今回は事件の発生から半年も経過していない迅速さ。更にアメフト事件では、加害学生が法廷で事実関係を争う中で処分が下されている。
 無論個々の事例を単純に比較することは出来ないが、加害者が学生である場合と教員である場合での対応の違いを甚だしく感じる。8月9日の放学処分を発表する記者会見で大学側は「人権を侵害する行為であり許し難い」と述べていたが、教員が起こした人権侵害は、学生が起こした人権侵害に比べそこまで断罪されるものでない、ということなのか。(魚)

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