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環on映画祭行われる

2010.05.21

4月28日、人間環境学研究科総合人間学部図書館で環on映画祭が開催された。環on映画祭とは、人間環境学研究科総合人間学部図書館内の「環on」というスペースで毎月行われる映画の上映会で、毎回、京大の先生が「案内人」として作品の解説を行っている。上映作品は『未来世紀ブラジル』(監督:テリー・ギリアム 1985/イギリス)。極端な管理社会化が進んだ世界を舞台に、役所に務める主人公、サムが想いを寄せる女性、ジルを救うために闘う物語。クライマックスには、サムとジルが国家権力の追撃を振り切り、のどかな田園で生活をおくる……と思われたのだが、それは逮捕されて拷問を受け、発狂したサムが見た夢であったという絶望的な結末が待っている。

上映後、案内人の人間・環境学研究科、水野眞理教授から『未来世紀ブラジル』に存在する2つの結末についての解説があった。『未来世紀ブラジル』には、絶望的な結末で終わる「オリジナル版」の他に、サムとジルが田園で幸せな生活をおくるところで終わりとなる「ハッピーエンド版」があるというのだ。「ハッピーエンド版」は、映画会社の要求で作られたものであり、監督のテリー・ギリアムにとっては不満の残るものだったという。

この2つの結末について水野教授と来場者の間でしばしの間、意見交換も行われた。水野教授を含む多数は「オリジナル版」の方をより評価する意見であったが、「ハッピーエンドで終わってほしかった」という声もあがるなど、様々な意見が出された。来場者それぞれが作品の意義を深く考えることができる有意義な催しであった。

5月の上映は5月20日に行われる。作品名は『風の丘を越えて(原題:西便制)』(監督…イム・グォンテク 1994/韓国)。案内人は人間・環境学研究科の小倉紀蔵准教授である。(47)