iPS細胞研究所・開所記念式典(2010.05.16)

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5月8日、吉田キャンパス医学部構内にて、今年2月26日に竣工完了したiPS細胞研究所(CiRA)の開所記念式典が行われた。初代所長となった山中伸弥教授をはじめ、研究棟設立に携わった大学関係者および国会議員、財界人、難病患者など多くの人が参加した。

今回、報道機関向けに内覧会が、一般参加者対象にはお披露目会が行われた。研究棟の内部が公開され、各所に配備された職員によって見学者に対し設備や施設について紹介・説明がされた。

式典に際する記者会見で山中教授は、「多くの難病患者さんやご家族の方、支援者にお会いしたり、お手紙をいただいて、その思いや応援をいただいた。このようなすばらしい環境をつくっていただいたわけですから、1秒でも早く期待や支援に応えられるよう、教職員が力を合わせて、これまで以上に精進してがんばっていく新たな決意をした」と 述べた。また研究姿勢について、「できるだけ早い実用化を考えて海外との競争や協力はバランスをとって行うことが重要だ。10年以内で臨床応用できるようにしたい」と抱負を語った。しかし実際は、臨床応用にはその効果よりも安全性が大切で、慎重に研究を進めていかなくてはならず、「あと何年で臨床が可能になる」と根拠なしには言えないという。この他、iPS細胞を利用した治療をするための健康な細胞を集める「細胞バンク」の必要性、iPS細胞研究からできる創薬の可能性、iPS細胞開発に携わるベンチャー企業が出現することへの期待などについても触れた。

同日夕方には、百周年時計台記念館にて開所記念式典および記念祝賀会が開かれた。松本紘・総長、山中教授から式辞が行われ、川端達夫・文部科学大臣、山田啓二・京都府知事、益川敏英・名誉教授などから祝辞が述べられた。
山中教授は式辞の中で、研究棟設立に携わった多くの関係者に対して、終始感謝の意を表した。世界で初めてiPS細胞の樹立に成功して以来、世界各国がiPS細胞研究に莫大な国家予算を投入し始めた。この動きを受け山中教授は、文部科学省をはじめ各省庁などにiPS細胞研究の重要性を訴え続けてきた。そして今回の研究棟設立に至った。しかし「建物ができただけでゴールでありません。患者さんの役に立つというところまで持っていってはじめて私たちの使命が終わりますし、この研究棟を建てていただいた甲斐があります」と山中教授は語る。これからもiPS細胞研究が応用段階に至るまでの動向に注目が集まる。

iPS細胞研究所は、これまで蓄積してきた基礎研究の成果をすぐにでも臨床応用につなげようという思いのもと世界に先駆けて作られた、iPS細胞に特化した研究機関のこと。山中教授の研究グループが06年8月マウスiPS細胞、07年11月にヒトiPS細胞の樹立成功を発表したことを受け、08年1月22日に物質―細胞統合システム拠点内に設置されたiPS細胞研究センターが前身。日本発のiPS細胞技術をより確実に臨床応用につなげるために基礎研究に重きを置いてきた。
今年4月にiPS細胞研究センターから昇格し、iPS細胞に携わる関係部署が新研究棟に集約され、京大14番目の附属研究所として新たなスタートを切った。これに伴い、同センターの英語名称・CiRAはそのままiPS細胞研究所に引き継がれた。
研究部門は現在、初期化機能研究部門・増殖分化機能研究部門・臨床応用研究部門・規制科学部門の4つで、合計18の研究グループから成り立つ。若手の研究員にも独立したポストが与えられ、次世代の育成が図られている。
研究棟は、地上5階、地下1階の構造。1階には、100人ほど収容可能な講堂があり、平日の午前8時半から午後5時15分までギャラリーでiPS細胞に関する展示パネル・タッチパネルが閲覧できる。

3、4、5階には、研究者のオフィス、実験室、培養室などがある。この実験室は研究所の最大特徴である横と縦の壁を取り払った「オープンラボ」であり、従来の研究室のような閉塞感がなく異分野の研究者が隣同士で実験を行うため研究情報の共有、意見交換が活発に行われ、効率的に研究が進むことが期待される。

地下1階と地上2階にはiPS細胞の安全性や多様性を検証するための動物実験施設や品質の良い細胞を作製、培養するための細胞調製施設(FIT:Facililty for iPS Cell Therapy)がある。

また、建物のデザインはグラフィックデザイナーの奥村昭夫(学術情報メディアセンター客員教授)、元木環(同助教)が「明るくて透明感があり未来的」というコンセプトのもと、オープンラボの天井を青、床を薄青にすることで広がりのある空間作りを実現させたり、サイン(表札)のデザインも趣向を凝らしたりと最先端の研究をするに相応しい未来的かつ良好な研究環境になっている。

研究棟の総建設費は46・8億円。その内訳は文部科学省から43億円、京都大学から3・8億円の拠出となっている。

本紙に写真掲載

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