〈学生自主管理空間のいま〉 VOL.3 法経本館地下編 夜間施錠開始(2010.04.16)

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法経本館でこの4月から夜間施錠が開始され、法・経以外の学生は夜間入館が出来なくなった。この措置によって影響を受ける地下の学生スペースの利用者へ事前の説明のないままの決定であった。夜間施錠の計画が発覚してから実施されるまでの学生の動きを追った。(魚・鴨)

法経本館とは
法経本館は本部構内の時計台裏手にある建物。法学部と経済学部の共同利用施設で両学部・研究科の授業が開講される教室や研究室がある。特徴的なのは地下が学生の課外活動スペースとなっている点だ。更に施錠されない入口があり事実上全学の学生が利用できる環境であった。建物の東ウイング地下は「E地下」、西ウイング地下は「J地下」と呼ばれている。

突然の発覚
今回の事態が明らかになったのは3月30日に法経本館の入口数カ所で工事をしているのを不審に思った法学部自治会関係者が法学部事務に事情を問い合わせたのがきっかけ。

その際に4月16日から法経本館で午後9時から翌朝7時30分までの夜間施錠を開始予定であること、そのかわり正面出入り口に電子錠を新たに設置するが、学生証で解錠する形式とし法学部、法学研究科以外の他学部生は入館できなくする予定であることが分かった。昨年11月に今年度からの学生証ICカード化が決まったことから、建物の管理者である法学部の関係者のみを入館させられるシステムができたことと3月に予算が確保できるメドが立ったので夜間施錠の実施を決めたという。

その後自治会は4月2日にJ地下にBOXを持つ学生団体との間で緊急の地下利用者会議を開催。この場で自治会常任委員会は今回の夜間施錠について・2009年3月に法学部長名で施錠については教職員、学生の理解を進めながら取り組むとの文書が自治会に提示されていたのに、今回の措置は事前に何の説明も無い一方的な決定であること、・J地下を利用しているのは法学部生だけではなく彼らの利用制限に繋がることを問題視。謝罪と今後夜間施錠について使用者と協議する場を設け、一端施錠開始を凍結することを求める申し入れ書を学部当局に提出することを提案した。

申し入れ書は12日に提出されたが、結局連名をしたのは自治会を含め地下にBOXを置く13団体中5団体にとどまった。これは構成員が法学部生のみの団体に取っては特に不都合のない措置であること、また一部のマナーの悪い利用者に対する反感が少なからず存在したことも影響していた。ある法学部生の地下利用者は「正直、態度の悪い利用者を閉めだせるのでは、とも思う」と語る。

申し入れ書を受けて法学部当局は15日に担当教員の酒巻教授、洲崎教授らによる説明会を開催した。施錠を実施する理由については、近年キャンパス内の治安が悪化していることを挙げ、法経本館でも昨年教員の研究室で盗難事件が発生したほか、不審者の目撃があり、防犯対策の必要性があるからだとした。

出席した学生側は一方的な施錠の決定と、他学部生の夜間利用の制限になる2点を問題として追求したが、法学部側は前者について「法学部の施設の管理責任を持つのは法学部であって、法学部生に取って特に影響のないものである以上説明する必要はないと思った。学生の理解を得ながらというのも反対があれば実施しない、との趣旨ではない」とし、後者についても「法学部としては法学部の施設をよく分からない人に使って欲しくはない、ここ数年の無施錠状態は異常なものである。法学部生はこれまで通り夜間利用が出来るので周知も実施前日の掲示で十分と考えていた。申し入れ書が出されたからこの場を持った」と発言。結局この場では申し入れ書の謝罪要求については一切応じず事実上のゼロ回答であった。

学生側からは「これからも今回のように事前の説明がないまま一方的に学生の活動を制限するのでは、と法学部に不信感が生じる」との声も出された。これに対して当局側は「法学部生に大きく影響すると考える措置は仮に実施しようと考えても十分話し合いが必要と考える」との回答だった。
予定通りの16日午後9時から夜間施錠は開始された。自治会常任委員会では「引き続き鍵の撤去を求めていくのは賛同も得にくく難しい、ただ今回の決定が一方的だったプロセスの不当性については追及していきたい」としている。

経・同好会は容認へ
経済学部は法学部におされて電子錠による施錠化を進めた。法経本館のドアの管理は法・経済学部で分かれており、法学部のみでは施錠化は機能しない。経済学部側が話を進める一方で、経済学部の自治会である経済学部同好会は4月上旬に事後的にこの計画について知る。同好会は当面(少なくとも4月中は)施錠はさせないとしながらも、施錠については容認の方向だった。その理由として以下のことを挙げている。4月中の経済学部地下の講読室はすでに利用者会議で月内の利用が決まっていて、今月中の施錠は都合が悪いこと。話があまりに急であること、まだこの時点では具体的な施錠実施は決定されていないこと。一方で、講読室における利用マナーの悪化、利用者として登録されていない団体による講読室の乱雑な利用、深夜の治安などを理由に容認の方向を取った。

4月上旬の時点で経済学部側の具体的な施錠計画は検討中で、学部側から同好会へ「決まり次第連絡する」とのことだったが、4月19日、経済学部での施錠化は同好会へ事前連絡なく決定し、『法経本館建物入退館方法の変更について(お知らせ)』なる紙が張り出された。同好会は積極的な反対行動をせず、かくて法経本館の施錠化は完了した。夜間経済学部地下へ南東出入り口(図参照)から入る際、経済学部生及び経済学研究科生は電子錠にICチップ内蔵の学生証をかざすことで入れるが、その他の学部生などは入ることができない。ただ、同じく法経本館に出入りできる法学部生及び法学研究科生も経済学部地下へ入ることが出来る。同好会委員は「事前連絡が無く施錠されたことや、他学部生、今月の講読室利用者への配慮が無く残念」。しかし、「もう施錠の装置が取り付けられているので、はずせとは言えない」と語った。

4月23日の施錠初日、テニスサークルが扉の前に群がり、扉には傘が挟まれ電子錠は早速無効化されていた。いったい何のための施錠なのだろうか。

J地下の歴史
まずJ地下には法学部学生自治会を初めとした法学部届け出13団体のBOXがある。これらの団体では法学部以外の学生も構成員として活動している。また法学部学生控え室(ピロティー)は大規模な学習会やコンパなど学生の幅広い自主活動に用いられている。この他自習室や法学部の学生用ロッカーがある。

J地下は常に24時間使用が出来た空間ではない。90年代は夜10時になると守衛が学生を建物の外に出し施錠していた。ところが2000年に守衛が人員削減で無くなってからは平日に関しては施錠をする人間がいなくなり開放状態になったのだ。

2005年に西ウイングが耐震改修を受けることになった際には、学生スペースについて撤去も含めた見直しの話が学部当局から出されたが、場所確保を求める学生団体が法経館使用者会議を結成。署名活動や交渉の結果、現在の法経第11教室の場所にあったBOXスペース通称「中2階BOX」のスペースも地下に新設した上で学生スペース全体としてのキャパシティーを維持することで合意した。さらにこの時から土日祝日の夜間施錠も解除された。

このようにJ地下が夜間休日も使用できる空間となったのは近年のことであり、偶然の要素があるのも事実である。しかし京大全体で学生の自由な活動スペースが減少していく中では貴重な出来事であった。

しかし良い事尽くめばかりであった訳ではない。テニスサークル等がピロティーをコンパの場として使う際に、煙草の吸い殻を床に捨てたりゴミを散らかしたまま片付けないといった使用マナーの悪い利用者の存在が、従来から地下を勉強会など学術活動で利用して来た利用者の間で問題となった。また2007年には自治会BOXから現金約10万円が盗難される事件が起きている。

そこで2009年度からは自治会を中心に地下利用者会議を毎月最終金曜日に開き、地下環境の問題点があれば解決策を議論したり、マナーの悪い団体があれば警告を出すなど自主的な環境改善の取り組みを行っている。

E地下の歴史
経済学部地下(通称E地下)は、経済学部同好会事務室、経済学部同好会文化部室、印刷室のほかに、第1から第5講読室を備え10前後のサークルが利用している。講読室は事前申請があれば誰でも自由に使う事ができ、また印刷室は多くの学生が相当数の印刷をする際に使用している。24時間使用がいつ始まったかは確認できないが、遅くとも2000年にはその実態が確認できる。

2000年7月に法経本館の改修計画を巡って行われた団体交渉で、同好会は本山美彦経済学部長(当時)との間で(1)学生の自治、自治活動を尊重すること(2)E地下の運用形態を維持すること(3)今後出来る限りの情報公開を行って行くことなどの確約を結んでいる。

2003年の東ウイング耐震改修の際は、工事期間中(約1年間)地下が使用できなくなったが、西村周三学部長(当時)との話し合いなどを経て、改修後も24時間使用が継続されることになり、現在に至っている。

<<本紙に図および写真掲載>>

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